こころざし

日々のつぶやきをしるしたブログです

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わたしは一日の仕事を終え、
いつものように業務日報を書きながら
同僚と明日の予定について話し、帰路についた。

アパートにつくと、帰りしなに買った出来合いの弁当を出来合いの電子レンジに入れて出来合いの夕食を食べる。

わたしはテレビをほとんど見ないので、部屋には静寂がひとり巣くっている。
ときおりダンプ・カーが通ると、アパートはぐらぐらと揺れた。

携帯電話はここのところアラーム音以外の音を発さない。

こうしてわたしの孤独で理想的な一日の終わりがやってきた。





春樹風文体でわたしの日常を描写するとこうなる。

もう5年ほど前になるだろうか。
都会で暮らす多くの人がそうなるように、
村上春樹に恋をした季節が、わたしにもあった。

この間図書館に本の返却に行ったとき、
まだ読んでいない春樹作品を目にして、焼けぼっくいに火がついてしまった。

手に取ったのは、『スプートニクの恋人』。
わたしの中の「春樹愛」が引っぱりだされて、収拾がつかなくなり、
かつてない集中力で読みふけってしまった。

春樹は、都会で暮らす若者の、言いようがなく、行き場のない孤独を、
ときにロマンティックに、ときにハードボイルドに、描き出してくれるのではないだろうか。

つまりは、実際にであれ内面的にであれ、一人であることを
寂しいと言うんじゃなくって、
クールであるように思わせてくれる。

だからよくわからない結末を、許せる気もする。


以前に春樹に恋をしていた頃、
バイト先にリーゼントとワークブーツでキメこんだおもちゃ屋さんがいた。

彼も春樹に恋をしていて、
わたしに、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』をすすめてくれた。

彼はその本を、4回買ったと言っていた。
読み返しては人にプレゼントしていたという。

彼はその本に出てくる、
「ポケットの中で小銭を数える練習」を密かにやっていたことを
わたしに打ち明けた。


私が春樹作品の中で一番好きなのは、
『神の子供たちはみな踊る』という短編集の中の、
『アイロンのある風景』という作品だ。

寒い寒い2月の真夜中の海辺で、若い男女と一人のおっさんがたき火をする。
たき火をするためだけに、寒い寒い中をわざわざ家から出て行く。
その無駄な体力的消耗こそがロマンを生む。



もっと大人になっても、まだ春樹が好きだろうか。
幸せな家庭を築いても?

そんなことはどうでも良かった。

読書に身をあずけている自分が好きだった。

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